2013年01月01日
安心して暮らし続けるためのネットワーク構築に向けて

安心して暮らし続けるための保健・医療・福祉(介護)ネットワーク構築に向けて ‐中山間地における効率性の追求‐
1.現状認識
農山村地域における医療・福祉(介護)の課題は過疎に起因しています.
すなわち,市場が成立しない農山村では,交通機関の撤退を含む公共サービスの低下(不均衡),民間業者が参入しないための医療機関,介護保険サービス不足が問題であります.このような安全性の欠落や不便さが人口流出に拍車をかけています.
2.目標設定
その解決に,都市部と農山村部の共生を掲げた住民運動が必要であることは言を俟ちませんが,地域との連携を基本的とした,少ないサービスの効率的運用を目指すことが重要であります.中山間地域の健全な維持なくして,下流(都市部)に住む人びとの安全はなく,その維持には,ある程度の人びとが住む必要があり,そのために教育・保健・医療・福祉・介護サービスが必須であります.
3.効率性追求
効率性を,より少ない対価で高い成果(満足)を得ることと仮定すれば,市場が成立する都会(人口密度が高い地域)では,競争原理で効率性が高まる可能性?がありますが,市場がない中山間地では,各分野の資源・サービスが絶対的に不足しているので,助け合いや協働なくして効率性を高めることはできません.住民に対するサービスの代表である行政のそれは,決して縦割りにならないように配慮することが重要であります.健康を守ることを目的とする保健・医療・介護サービス分野でも,連携・合体をもってその効率性を追求することが肝要であり,そのためにはまず保健・医療・福祉・介護の情報の共有化が欠かせません.
4.保健・医療・介護情報の共有
本来,個人の保健・医療・福祉・介護情報はその個人自身で管理すべきでありますが,これまでお上が絶対的権威を示してきた歴史的背景,任せていれば安心という日本人には,まだそのような慣習が形成されていません.
75歳の一人の住民を想定したとき,その人の健診データ(保健情報)は行政の保健福祉部門に保存,高血圧症,高脂血症,糖尿病などの疾病によるデータは医療機関(慢性疾患は診療所,急性疾患は病院など)に蓄積されています.介護保険認定を受ける状態になれば,その調査データは介護保険課に貯められ,続いて提供される介護サービス時の状況をみれば,各サービス業者に個々に作成された福祉カルテに記録され,主治医の意見書は診療所のカルテに保存されています(図1).
1.現状認識
農山村地域における医療・福祉(介護)の課題は過疎に起因しています.
すなわち,市場が成立しない農山村では,交通機関の撤退を含む公共サービスの低下(不均衡),民間業者が参入しないための医療機関,介護保険サービス不足が問題であります.このような安全性の欠落や不便さが人口流出に拍車をかけています.
2.目標設定
その解決に,都市部と農山村部の共生を掲げた住民運動が必要であることは言を俟ちませんが,地域との連携を基本的とした,少ないサービスの効率的運用を目指すことが重要であります.中山間地域の健全な維持なくして,下流(都市部)に住む人びとの安全はなく,その維持には,ある程度の人びとが住む必要があり,そのために教育・保健・医療・福祉・介護サービスが必須であります.
3.効率性追求
効率性を,より少ない対価で高い成果(満足)を得ることと仮定すれば,市場が成立する都会(人口密度が高い地域)では,競争原理で効率性が高まる可能性?がありますが,市場がない中山間地では,各分野の資源・サービスが絶対的に不足しているので,助け合いや協働なくして効率性を高めることはできません.住民に対するサービスの代表である行政のそれは,決して縦割りにならないように配慮することが重要であります.健康を守ることを目的とする保健・医療・介護サービス分野でも,連携・合体をもってその効率性を追求することが肝要であり,そのためにはまず保健・医療・福祉・介護の情報の共有化が欠かせません.
4.保健・医療・介護情報の共有
本来,個人の保健・医療・福祉・介護情報はその個人自身で管理すべきでありますが,これまでお上が絶対的権威を示してきた歴史的背景,任せていれば安心という日本人には,まだそのような慣習が形成されていません.
75歳の一人の住民を想定したとき,その人の健診データ(保健情報)は行政の保健福祉部門に保存,高血圧症,高脂血症,糖尿病などの疾病によるデータは医療機関(慢性疾患は診療所,急性疾患は病院など)に蓄積されています.介護保険認定を受ける状態になれば,その調査データは介護保険課に貯められ,続いて提供される介護サービス時の状況をみれば,各サービス業者に個々に作成された福祉カルテに記録され,主治医の意見書は診療所のカルテに保存されています(図1).

このような個人のデータが分散された状態でもって,「医療と介護の連携が重要である」と行政指導は行われ,連携のために時間とお金を費やしています. 分断されている保健・医療・福祉・介護情報を一体化すれば,日常診療に大いに役立ち,検査の無駄を省くことができ,結果として医療費の削減につながることが想定されます(図2).

また,保健活動からみれば,保健師による保健指導と医療現場での指導との無駄のない連携が図られますし,医師からみれば,連携のために要求される書類を書く負担も大いに軽減されます.人の一生の生活の質を支え維持するのは保健・医療・福祉・介護サービスであり,その一体化(同じ意思を持った.同じベクトル)が少ないサービスを効率よく運用する鍵であります(図3).

5.もう少し先へ
地域で病気の人が増えれば医療機関の経営が安定し,保健活動によって早期発見,早期治療が確立されれば医療機関の経営が圧迫されるという現在の医療制度では,住民の健康を守るという根本的な理想に近づけません.いままでの医療から予防医療である検診の充実―保健事業へのシフトが結果的に地域住民の幸せにつながると思います.
保健・医療・福祉・介護情報が共有化され,誰でもどこでも必要な情報を得ることができる状況下,適切なサービスを提供できる体制づくりを,行政,民間を含めて構築することが健康な地域づくりの基本でありましょう.
6.まとめ
中山間地域の健全な維持なくして,下流(都市部)に住む人びとの安全はありません.その維持には,ある程度の人びとが住む必要があり,そのためには医療・福祉(介護)サービスが必須であります.競争・市場が成立しない中山間部では,縦割り組織による分断的サービスではなく,情報の共有化とそれに基づく効率的な連携(合体)した住民へのサービス提供が重要あります.そのためには一律の法律に基づく均一な政策でなく,柔軟で多様な公的援助が必要であり,住民が作り上げる仕組みを行政が追認するという方策を採らない限り農山村地域の生存権を支える医療・福祉サービスの維持は不可能であります.
いわゆる田舎の生活基盤を支えてきた郵便局が分社化・解体されてしまった現在,地域を総体として捉える考えを基礎にもった公民・公協連合の模索が必須と考えます.
文責:"三河中山間地域で安心して暮らし続けるためのネットワーク研究会"
地域で病気の人が増えれば医療機関の経営が安定し,保健活動によって早期発見,早期治療が確立されれば医療機関の経営が圧迫されるという現在の医療制度では,住民の健康を守るという根本的な理想に近づけません.いままでの医療から予防医療である検診の充実―保健事業へのシフトが結果的に地域住民の幸せにつながると思います.
保健・医療・福祉・介護情報が共有化され,誰でもどこでも必要な情報を得ることができる状況下,適切なサービスを提供できる体制づくりを,行政,民間を含めて構築することが健康な地域づくりの基本でありましょう.
6.まとめ
中山間地域の健全な維持なくして,下流(都市部)に住む人びとの安全はありません.その維持には,ある程度の人びとが住む必要があり,そのためには医療・福祉(介護)サービスが必須であります.競争・市場が成立しない中山間部では,縦割り組織による分断的サービスではなく,情報の共有化とそれに基づく効率的な連携(合体)した住民へのサービス提供が重要あります.そのためには一律の法律に基づく均一な政策でなく,柔軟で多様な公的援助が必要であり,住民が作り上げる仕組みを行政が追認するという方策を採らない限り農山村地域の生存権を支える医療・福祉サービスの維持は不可能であります.
いわゆる田舎の生活基盤を支えてきた郵便局が分社化・解体されてしまった現在,地域を総体として捉える考えを基礎にもった公民・公協連合の模索が必須と考えます.
文責:"三河中山間地域で安心して暮らし続けるためのネットワーク研究会"
2013年01月01日
目的・テーマ・事業等についてのご紹介

三河中山間地域で安心して暮らし続けるためのネットワーク研究会の事務局は、愛知県厚生農業協同組合連合会 足助病院内に設置されています。
以下は、事務局が発信している研究会の目的、テーマ、事業、および当面の活動についての紹介文章です。
以下は、事務局が発信している研究会の目的、テーマ、事業、および当面の活動についての紹介文章です。
研究会の目的
本会は、三河中山間地域で安心して暮らし続けるために必要な、医療・保健・福祉(介護)サービスを安定して確保することを目的とする。
三河中山間地域は、診療所を始めとする医療・保健・福祉の資源が少ない。
さらに昨今の医師不足・看護師不足は当地域へも波及して、足助病院においてもそうした問題が表面化してきている。
これらのサービスは地域住民に包括的に提供できてはじめて実効ある活動となるが、以下のように医療費削減を目的とした政府による制度変更はこれを妨げる方向に進んでいるとしか思われない状況である。
即ち、1980年代から進められた介護では介護保険制度を制定、保健分野では健康に対する自己責任の明確化などの打ち出し、1983年から老人保健法で実施してきた健康診断や保健指導を医療保険に移した事などである。
こうした制度の変更は、制度ごと・財源ごとの縦割り組織による事業活動を行なわざるを得ない現状をもたらしており、サービス提供事業者は各々をバラバラに事業活動をせざるを得なくなっている。
また、自由開業医制下における市場原理主義・規制改革・民間開放に傾いた施策は、ただでさえ不足している三河中山間地域のサービス資源を枯渇化させている。
一方では、健診時の検査と病院での検査が二重に実施されても抑止する手段が無いなど、結果的には費用の無駄を発生させている事例も多くある。
このような状況における医師不足・看護師不足問題は、2次医療圏内の医療提供体制崩壊の危惧に結びついており、とくに距離的不利益と医療資源を始めとする供給体制不足に起因する社会生活面での不安が大きい三河中山間地域では、地域に暮らすもの自らが「健康面での安全・安心の確保」に立ち上がる必要があるのではないかと考える。
その方策の一つとして、「病気にならない、介護を受けずにすむ健康づくり」を中心とした健康に対する価値観の醸成と個人を支援する仕組みを作る事が挙げられる。
今一つは、これまでは実現できなかった医療・保健・福祉サービスの連携の形態を探り、少ない資源を有効に連携活用したサービスの一元的提供を目指し、三河中山間地の健康に関する安全・安心を確保するネットワーク体系を構築する。
「三河中山間地域で安心して暮らし続けるための健康ネットワーク研究会」では、人と人とのヒューマンネットワークづくりを進めるなかで、個々の健康意識の調査および地域に必要なサービス(機能)などの調査をしたうえで、抽出された課題や共有できる目標に向かって活動していきたいと考えている。
テーマ
住民の健康意識の醸成と健康に関する安心感の確保
サービス提供者側のネットワークの構築
住民とサービス提供者側ネットワーク構築
課題解決のためのツール開発
研究会の事業
・地域の啓発に必要な集会、講演会の開催
・住民の健康づくりを促す仕組みづくり、医療・保健・福祉サービスの連携によるサービスの一元(ネットワークサービス)提供の研究
・森林の割合が90%、高齢化率40%、進む過疎化という三河中山間地域の特性を克服するためのICT利活用の研究
・ネットワークサービスの事業化の研究
当面の活動について
1.住民の健康意識の醸成:研究会の広報活動、研究会への参加呼びかけ。講演会や健康講座の開催。
2.保健・医療・福祉(介護)関係者への研究会の広報活動、研究会への参加呼びかけ
3.住民の実態及び意識調査の実施と現状の分析・課題の把握
4.サービス提供者の実態と意識調査の実施と現状の分析・課題の把握
5.課題解決のための分科会を設置して解決にあたる。
※.現在進めているWeb型電子カルテを活用した地域での医療情報共有活用の取組み等ICT利活用の研究は分科会活動として継続していく。
本会は、三河中山間地域で安心して暮らし続けるために必要な、医療・保健・福祉(介護)サービスを安定して確保することを目的とする。
三河中山間地域は、診療所を始めとする医療・保健・福祉の資源が少ない。
さらに昨今の医師不足・看護師不足は当地域へも波及して、足助病院においてもそうした問題が表面化してきている。
これらのサービスは地域住民に包括的に提供できてはじめて実効ある活動となるが、以下のように医療費削減を目的とした政府による制度変更はこれを妨げる方向に進んでいるとしか思われない状況である。
即ち、1980年代から進められた介護では介護保険制度を制定、保健分野では健康に対する自己責任の明確化などの打ち出し、1983年から老人保健法で実施してきた健康診断や保健指導を医療保険に移した事などである。
こうした制度の変更は、制度ごと・財源ごとの縦割り組織による事業活動を行なわざるを得ない現状をもたらしており、サービス提供事業者は各々をバラバラに事業活動をせざるを得なくなっている。
また、自由開業医制下における市場原理主義・規制改革・民間開放に傾いた施策は、ただでさえ不足している三河中山間地域のサービス資源を枯渇化させている。
一方では、健診時の検査と病院での検査が二重に実施されても抑止する手段が無いなど、結果的には費用の無駄を発生させている事例も多くある。
このような状況における医師不足・看護師不足問題は、2次医療圏内の医療提供体制崩壊の危惧に結びついており、とくに距離的不利益と医療資源を始めとする供給体制不足に起因する社会生活面での不安が大きい三河中山間地域では、地域に暮らすもの自らが「健康面での安全・安心の確保」に立ち上がる必要があるのではないかと考える。
その方策の一つとして、「病気にならない、介護を受けずにすむ健康づくり」を中心とした健康に対する価値観の醸成と個人を支援する仕組みを作る事が挙げられる。
今一つは、これまでは実現できなかった医療・保健・福祉サービスの連携の形態を探り、少ない資源を有効に連携活用したサービスの一元的提供を目指し、三河中山間地の健康に関する安全・安心を確保するネットワーク体系を構築する。
「三河中山間地域で安心して暮らし続けるための健康ネットワーク研究会」では、人と人とのヒューマンネットワークづくりを進めるなかで、個々の健康意識の調査および地域に必要なサービス(機能)などの調査をしたうえで、抽出された課題や共有できる目標に向かって活動していきたいと考えている。
テーマ
住民の健康意識の醸成と健康に関する安心感の確保
サービス提供者側のネットワークの構築
住民とサービス提供者側ネットワーク構築
課題解決のためのツール開発
研究会の事業
・地域の啓発に必要な集会、講演会の開催
・住民の健康づくりを促す仕組みづくり、医療・保健・福祉サービスの連携によるサービスの一元(ネットワークサービス)提供の研究
・森林の割合が90%、高齢化率40%、進む過疎化という三河中山間地域の特性を克服するためのICT利活用の研究
・ネットワークサービスの事業化の研究
当面の活動について
1.住民の健康意識の醸成:研究会の広報活動、研究会への参加呼びかけ。講演会や健康講座の開催。
2.保健・医療・福祉(介護)関係者への研究会の広報活動、研究会への参加呼びかけ
3.住民の実態及び意識調査の実施と現状の分析・課題の把握
4.サービス提供者の実態と意識調査の実施と現状の分析・課題の把握
5.課題解決のための分科会を設置して解決にあたる。
※.現在進めているWeb型電子カルテを活用した地域での医療情報共有活用の取組み等ICT利活用の研究は分科会活動として継続していく。
タグ :三河中山間
2013年01月01日
発足経緯のご紹介

三河中山間地域で安心して暮らし続けるためのネットワーク研究会の事務局は、愛知県厚生農業協同組合連合会 足助病院内に設置されています。
以下は、2010年に事務局が発信した研究会の発足経緯を紹介した文章です。
以下は、2010年に事務局が発信した研究会の発足経緯を紹介した文章です。
研究会発足に至る経緯
当院では、この地域に生活する地域住民の安全・安心・満足な生活を確保するためには、保健・医療・福祉(介護)サービスの存続と確保、その連携は必須の要件であるとの考え方から、現在Web型電子カルテを活用した地域での医療情報共有活用の取組みを厚生労働省の「地域診療情報連携推進事業補助金」の採択を受け進めています。
この取組みは三河中山間地域に在る診療所の医療情報と当院の医療情報を地域共有カルテの構築により相互活用して地域医療の向上と機能連携に貢献しようとするものです。
この取組みの中で地域の診療所の先生方と意見調整や要望など自由に討論できる場としての「意見交換会」を既に5回開催してきました。(※2010年当時の回数です)
この意見交換会では、この地域における医療・保健・福祉の存続が地域住民の安心した生活には不可欠であるとの考え方に立って討論が為されており、今回のWeb型電子カルテによる医療情報の共有に留まるのではなく広い視野に立って地域の方向性を考える必要があるとの考え方で意見が一致していました。
このことから「三河中山間地域で安心して暮らしつづけるための健康ネットワーク研究会」の設立について先生方の賛同を得、発足の運びとなりました。
また、この研究会には診療所の医師のみでなくこの地域の診療所スタッフ・保健福祉関連施設職員・自治体関係者・農協関係者・地域住民など幅広い参加を求めることが確認されました。
以上のような経緯から「自分たちの手で地域の健康に関する安全・安心を確保する」を目標に掲げた研究会として発足することにしました。
この取組みは三河中山間地域に在る診療所の医療情報と当院の医療情報を地域共有カルテの構築により相互活用して地域医療の向上と機能連携に貢献しようとするものです。
この取組みの中で地域の診療所の先生方と意見調整や要望など自由に討論できる場としての「意見交換会」を既に5回開催してきました。(※2010年当時の回数です)
この意見交換会では、この地域における医療・保健・福祉の存続が地域住民の安心した生活には不可欠であるとの考え方に立って討論が為されており、今回のWeb型電子カルテによる医療情報の共有に留まるのではなく広い視野に立って地域の方向性を考える必要があるとの考え方で意見が一致していました。
このことから「三河中山間地域で安心して暮らしつづけるための健康ネットワーク研究会」の設立について先生方の賛同を得、発足の運びとなりました。
また、この研究会には診療所の医師のみでなくこの地域の診療所スタッフ・保健福祉関連施設職員・自治体関係者・農協関係者・地域住民など幅広い参加を求めることが確認されました。
以上のような経緯から「自分たちの手で地域の健康に関する安全・安心を確保する」を目標に掲げた研究会として発足することにしました。
タグ :三河中山間